最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回は、小さな子から楽しめる、身近な自然をテーマにしたシリーズ絵本をご紹介します。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』『子どもを育てる 0・1・2歳児にぴったりの絵本』(小学館)。
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『あかちゃんの おさんぽえほん みぢかないきもの 全3冊』
とうごう なりさ/作
福音館書店
『あかちゃんの おさんぽえほん みぢかないきもの全3冊』は、小さな人向けには珍しい、季節や自然をテーマにした15㎝角のボードブックシリーズ作品です。幼い子がお散歩のときに出会える、身近で小さな自然を、版画ならではの柔らかな絵と、心地よいリズムの文章を添えて描いています。季節や子どもの体験に合わせ、何回でも楽しみましょう。
小さな子の小さな友達・てんとうむし
『あ! てんとうむし』
とうごう なりさ/作
福音館書店
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表紙には、ほぼ実物大のような幼い子の手。「どこ いくの… ねぇ、まってー」。てんとうむしを追いかけます。やがて、草に登ったてんとうむしは、羽を広げ、おてんとうさんに向かって飛び立ちます。
子どもたちは、ページの中に生きたてんとうむしを見つけたように、じっと見入り、主人公と同じような手のしぐさを始める子もいることでしょう。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
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読み聞かせるなら…
- 対象:1歳児から
- 時間☆:2分
- ポイント:てんとうむしを見つけられるよう、できるだけ近い距離で、ゆっくりと、穏やかに読んでください。中には見つけられない子もいますので、ページをめくる直前に短い時間、軽く指さしをしましょう。読み聞かせにかかる時間は、子どもたちの反応によって変わります。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
黒い姿に目がとまる・カラスが主役
『からすが かぁ!』
とうごう なりさ/作
福音館書店
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おなかが空いたカラスが1羽。「かきのみ みつけた」と枝にとまると、「かあ! かあ!」ともう1羽のカラスがやってきます。2羽は仲よく「ツンツン パクン! おいしいね」。おなかがいっぱいになると、2羽は揃って白いうんちを「ビューッ!」。今やカラスはスズメ以上に存在感があり、身近な鳥になりました。そんなカラスの1日を美しい色彩で楽しみましょう。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
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読み聞かせるなら…
- 対象:1歳児から
- 時間☆:2分
- ポイント:「!」は声(音)をあげるように、そのほかは落ち着けるような気持ちで読むと、自然なメリハリがつきます。美しい色彩のカラスの黒と空の青のコントラストを味わうためにも、大げさな読み方で子どもを驚かせないよう、気をつけましょう。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
お散歩道でたんぽぽを見つけたら…
『たんぽぽのはら』
とうごう なりさ/作
福音館書店
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「たんぽぽ のはら ぽかぽか のはら そこへ みつばちが とんできて」。まずは、ご自身のために読んでみてください。7・7・7・5の七五調の言葉が、耳に心地よく感じられることでしょう。そして、まるで子どもの視線に沿うように展開するやさしい絵。きっと、春の日ざしあふれる、たんぽぽ野原にいるような気持ちになります。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
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読み聞かせるなら…
- 対象:1歳児から
- 時間☆:2分
- ポイント:主役はたんぽぽです。絵本は高い位置で持つより、むしろ低い位置で持ったほうが、たんぽぽらしくてよいでしょう。「たんぽぽ のはら ぽかぽか のはら」を、子どもたちと一緒に読むのもいいですね。
イラスト/小泉直子